日本キャンプ協会

From…キャンプと学び


毎年この時期になると、その年の10大ニュースなどが話題となりますが、キャンプにたずさわっておられる皆さんの今年のできごとはどのようなものだったでしょうか。

 私もいくつかありました。一つ目は、キャンプの出来事というよりもキャンプという営みそのものにかかわることです。大学でのとある会議で「キャンプで授業の単位がとれるの?」という質問をある先生からされました。質問された先生の頭の中には、どうもキャンプというのは、自然の中に単に遊びに行くものというイメージが色濃くあるようで、要は遊んで単位がもらえるの?という感じの質問なのでした。

 私からは、授業として行うキャンプなので、体験学習法の考え方を取り入れ可能な限り体験を学びに繋げていること、自然の中で生活するためのノウハウや自然環境について学ぶだけでなく、野外教育として個人の成長や仲間とのコミュニケーション能力や集団での課題解決能力を育成することなどを目的に行っていることなどを丁寧に説明させていただきました。しかし、私の説明でどれほど納得して頂けたのか、最後までわかりませんでした。

 二つ目は、台風の中で行われた夏のキャンプ実習です。前もって決められている日程なので、キャンプの期間中に台風がやってきそうなことは事前から予想が出来ました。この台風は、雨風ともに強く、各地で河川が氾濫し、大きな被害をもたらした台風でした。

 果たして、実際に台風がやってきましたら、その威力とやらはすさまじく、猛烈なものがありました。荒天でのキャンプにも慣れている私たちでしたが、さすがに台風が最も近くに接近した午前中だけは、安全を考慮し施設への避難を余儀なくされました。しかし、その時以外は、期間中をずっとキャンプ場で過ごすことができました。キャンプ最終日の朝、テントを出ると、文字通り「台風一過」のほんとうに抜けるような鮮やかな青空が広がっていました。

 都会の人も今朝は気持ちよくこの空を眺めているだろうけど、今回の台風をキャンプ場で迎え、やり過ごした学生達の今朝の気持ちよさは、また格別だろうなぁという気持ちと、このような共有体験を提供してくれる自然は、やっぱりすごいなぁと感心することしきりでした。


 今年も各地でいろんなキャンプが実施され、それぞれ毎に、たくさんの出会いや出来事、学びがあったことと思います。今年得たものを自分の中でしっかりと昇華させ、次の年へのステップとしていきたいものです。


CAMPING156より掲載