From…見えないおしゃれ
2012年06月14日(木)キャンプについて
梅雨のシーズンになった。本来は湿度が高く、黴(かび)が繁殖しやすくなるため「黴雨」と書いて「ばいう」と読んだらしいが、カビじゃあんまりだというので「梅雨」となったとか。5月の連休の前後に植えたイネの田んぼには欠かせない天の恵みではあるけれど、雨が好きだと言うのはカエルくんくらいで、雨の日は憂鬱なものだ。
雨は自然のものだけれど、近年は天気予報の的中率が格段に上がって、「今日の○○時頃からは大きめの傘を用意して下さい」などと時間指定でずいぶん親切なアドバイスまでしてくれるようになった。このように科学技術の発達というのは知らず知らずのうちに、私たちの生活の中にしっかりと浸透し、日常の生活スタイルに大きな影響をもたらしている。
キャンプに親しんで、比較的自然の中で過ごす時間の多い私たちも、科学技術の恩恵はいたるところで感じることができる。例えば、このシーズンに野外に出て行こうとするときに欠かせないレインウエアもそうだ。雨の日はなるべく屋内で過ごすというのも手だが、十分と言えないキャンプ期間での活動の場合、プログラムの雨中決行もやむを得まい。こんなときによいレインウエアがあれば、安心して行動できるというものだ。
最近は撥水性が高く蒸れにくい素材で出来たものが、けっこう安価に手に入るようになった。ゴアテックスという素材のレインウエアが発売されたのは30年くらい前だったと思うが、そのころは買うのに躊躇するほどの高価なものだったと記憶する。フリース素材同様、機能的な道具を手に入れやすくなったのは技術の進歩のおかげだろう。
ただちょっと悔しいことは、やはり価格の高いものの方が性能がよいということだ。そして、もっと悔しいのは、せっかく持って行ったのに、一度も着用しないままに持って帰ったキャンプほど楽しいキャンプだったということだ。
そして、安全対策もレインウエアと同じようなものたということだ。それでも、天気予報の精度が上がって、雨が降らないことがほぼ確実にわかっても、万が一に備えたレインウエアはキャンプの必需品だ。万全の準備と対策を施して、実際には使わずに済むのがいちばんいいキャンプといえる。見えないところに気配りをするのがおしゃれの基本といわれるが、今年のキャンプもおしゃれに決めたいものだ。
このコラムは、日本キャンプ協会 石田易司会長、星野敏男副会長、神崎清一常務理事、吉田大郎常務理事からなる論説チームが担当します。