From…組織キャンプにおける「補完性」
2012年01月30日(月)キャンプについて
キャンプが終わると、さまざまな形で参加者やその保護者の方々から評価をいただく。それはこちらがお願いするアンケートへの記入という形もあるし、自発的に電話やメールをしていただくという場合もある。参加者のお母さんからいただく手紙の多くは感謝を記したものなのだが、中には苦情が書かれていることもある。そんな苦情の手紙の中に「子どもが楽しめなかった」というものがあり、その原因として「キャンプカウンセラーが1 年目だったから」と書かれていた。確かに、経験の浅いカウンセラーがゲームをよく知らなかったり、安全上の配慮が欠けていたりする可能性はある。しかし、カウンセラーの経験が浅いことそのものが、キャンプを楽しめない原因になるのだろうか。
私たちの実施しているキャンプを「組織キャンプ」という理由のひとつに、経験の浅いキャンプカウンセラーに足らない部分があっても、組織として補い合う「補完性」が働くことがある。だから、どのグループにいる子どもたちも同じように豊かな体験ができる。
この補完性は、キャンプカウンセラーの成長にとっても大きな役割をもつ。自分の得意な部分を生かしつつ、足らないところをほかのカウンセラーらから学ぶことは、若いキャンプカウンセラーにとって貴重な成長の機会だ。また、ほかのメンバーを見て自分の「未熟」を自覚することは、子どもたちと「共感」する部分を多くすることにつながる。こういった相互作用があるからこそ、世界中でボランティアがキャンプカウンセラーの役割を担っている。
また、主体性という観点に立った場合、リーダーが未熟であれば、メンバーの主体性がよりはぐくまれる可能性が高まるというリーダーシップ理論もある。つまり、キャンプカウンセラーに未熟な部分があると、参加者がより主体性を持って活動する可能性もあるということだ。自分では「できない」ことがある場合に、組織内外の「できる」資源とつなぐ「媒介」や「コーディネーション」ということが、今、大切にされている。キャンプが社会的信用を得るためには、個人の成熟以上に、「補完性」を担保する組織の成熟が問われている。
CAMPING 144号より転載