キャンプ活動・野外活動等における、全ての子どもの人権尊重について(緊急声明)
公益社団法人日本キャンプ協会
会長 平田 裕一
「キャンプ事業における引率指導者のわいせつ事案」での地方裁判の判決を受けて
公益社団法人日本キャンプ協会は、1966年の設立以来、青少年の心と身体の成長を育むキャンプの教育的有用性に着目し、組織キャンプの普及・振興とキャンプ指導者の養成に努めてまいりました。
また、協会が設立される以前より、特に、戦後(第二次世界大戦)の混乱期では、社会的弱者である子ども・青少年を貧困等から救済するため民間団体・青少年育成団体等は、キャンプ活動・野外活動を積極的に推進し、喫緊の社会的課題に対応してまいりました。
このように野外教育界では長年にわたり、本協会、青少年教育団体、野外教育団体、自然学校、大学の専門教育・研究機関、行政機関、教育現場等の関係団体が連携をはかり、キャンプに参加した多くの青少年の人格的成長を促し、日本社会の様々な分野において活躍・貢献する人材を輩出しております。
青少年の健やかな成長の支援に関しては、1989年11月20日、第44回国連総会において、世界中すべての子どもたちが持つ権利を定めた「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」が採択され、我が国も1994年に批准しております。
本条約は、子ども(18歳未満の人)が権利を持つ主体であることを明確に示し、子どもが大人と同じように、一人の人間として持つ様々な権利を認めるとともに、成長の過程にあって保護や配慮が必要な、子どもならではの権利も定めています。
そのような社会状況の中、2023年10月30日、大阪地方裁判所堺支部で行われた裁判において「地元市議会議員が主催するキャンプでのわいせつ事案」の被告人に対し「懲役6年」の実刑判決が言い渡されたことが報道されました。
判決では、『信頼を悪用した極めて卑劣で狡猾な犯行』と指摘しており、その上で『被害者の尊厳を踏みにじり、強い非難に値する』等として、実刑判決を下しています。本事件が発生したことは、極めて遺憾であり、絶対に許されるものではありません。
一日も早く、被害に遭った子どもたちと保護者の皆様の快復を願い、私たち日本キャンプ協会は、キャンプ中にこうした事件が発生した現実を受け止めて、「すべてのこどもたちの人権尊重」を念頭に置き、再発防止にむけた「セーフガーディング」の普及に努め、関係機関との更なる連携をはかり、これからも「安心安全なキャンプ」の推進と「信頼される指導者の養成」に今後も鋭意努力いたします。
《参考》
【子どものセーフガーディング】
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンWebサイトより
https://www.savechildren.or.jp/about_sc/quality1.html
【子どもの権利条約】
日本ユニセフ協会Webサイトより
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html
【本件についてのお問合せ先】
公益社団法人日本キャンプ協会