【キャンプの履歴書】関谷 福蔵さん
2024年04月09日（火）キャンプの履歴書
関谷 福蔵さん（キャンプディレクター１級／キャンプ歴 指導者として12年）
いえしま自然体験センター全景
キャンプディレクターの資格を取得した理由は？
今思えば、私の現職場に勤務していた父の背中を見て育ったこともあり、幼い頃からキャンプに憧れを持っていました。その後、いろんな縁から憧れの職場に就くことになり、指導する立場になったのですが、人の命を預かることの重さに気付き、一定の知識を身に着ける必要を感じてインストラクターの資格を取得しました。
その後、キャンプの企画、運営、指導者の養成という立場に近づいてきたことや、さらに興味が高まったこともあり、キャンプディレクターの資格に挑戦しました。
学習していく上で、現場での経験とリンクさせることができたので、再確認しながら学習できました。また、社会に貢献するためにキャンプの可能性は無限大であると感じたことも大きな理由です。
資格はどんな場面で役立っている？
兵庫県立いえしま自然体験センターの職員をしています。まず、同じ資格を持っている方と基本的な知識・理論を共通理解として企画・運営できることがとても役に立っています。
そして、キャンプを企画・運営する上で、知識・理論に沿って行うことで大きな成果を得られました。また、資格を持っているという自信が落ち着きに変わり、その落ち着きが指導の質を上げ、参加者に安心を与えているように感じています。
～ネット環境を忘れてみよう～
レッツ自然体験でのグループファイヤー
思い出に残るキャンプは？
昨年（2023年）行った主催キャンプ「～ネット環境を忘れてみよう～レッツ自然体験」で、プログラムディレクターとして関わったキャンプがとても思い出に残っています。このキャンプはネット依存傾向にある子どもを対象として行うキャンプです。
ネット依存傾向にある子どもたちの多くは、別の問題でネットに依存している傾向があります。自然の中で仲間と活動すれば、元気に遊ぶ力も持っています。何が問題かというと、ネット以外の選択肢が少ないことだと考えています。そんな子どもたちと2泊3日、自然体験や共同生活体験を行いました。たった2泊3日でしたが、最終日の閉講式の歌の合唱で大号泣が始まり、別れ際も大号泣。泣くことがいいとは言いませんが、それほど感動することができたことは心が動いたということなので、成果としての大きさを感じています。プログラムとしては基本的な理論に沿って構築したことが功を奏しましたが、課題を抱えている子どもたちの「変わりたい」という想いが、たった2泊3日のキャンプに感動をもたらしたのだと考えています。
新たに始めたキャンプは？
「新しいこと」を求めがちですが、私は逆にクラシックなキャンプに憧れがありますので、本質に近いキャンプを行いたいです。火を囲んで語り合うみたいな。
キャンプやキャンプ指導で大事にしていることは？
指導をする上で、最近のキーワードは「地道さ」です。変わりゆく時代に翻弄され、失われる人間性を取り戻すには、大きな逆転の波ではなく、最前線にある、今そこにある、地道な指導が結局近道ではないかと感じています。
どんなキャンプをつくっていきたい？
私が暮らす地域では過疎化が進み、子どもの人数が激減しています。その状況において、子どもたちの集団での活動の場が減ってきていることを危惧しています。その課題について、キャンプの力でアプローチできないかと考えています。またそれが先進事例となって過疎地域に広がることで、過疎地が抱える負の連鎖を打開するきっかけになれば地方の活力が上がっていくのではないかと考えています。
キャンプディレクターの資格取得を迷うキャンプインストラクターの方に向けて、アドバイスを！
インストラクターを取得しているということは、キャンプ指導をすでに行っている方だと思います。ディレクター資格での学習はすでに経験されていることの再確認作業に加えて、新しい知識や知恵を得る機会ですので、ぜひ取得していただきたいです。また、それが自信につながり、より効果のある指導につながっていきます。